一般的にはあまり知られていない孵卵器(ふらんき)。 ただ最近ではポケモンでふかそうち(孵化装置)として登場しているので、卵を孵す機械が存在していることは子どもにも知られているかもしれません。孵卵器はマイナーな機械ではありますが、ここ数年でいろいろな機種が販売されるようになったので、現在購入を考えている人はどの機種を買えばいいか迷うと思います。そこで各機種の特性などをご紹介していきます。

孵卵器の選び方

まずは、卵を孵すといっても孵化を試してみたい方から繁殖目的のブリーダーの方など幅があると思います。また、何個ぐらい孵卵をしたいか、どのサイズの卵を孵卵したいかもありますが、そこは消去法的に選択肢が減りますのであまり気にするポイントではないと思います。
注意点ですが、孵化させるということは飼い主として孵した鳥の世話をする義務と責任があります。毎日しっかり食事を与えることはもちろん、衛生面もしっかり考え病気にならないようにすることなど健康を維持することが飼い主の義務であり責任なのです。卵を孵すということは、鳥を飼うとセットになっているので、しっかり義務と責任を果たすようにしてください。もし果たす自信がないのであれば、孵化はおすすめいたしません。

孵化に必要な要素と孵卵器の機能

孵化には最低でも3つの要素があります。
  1. 温度 約37.5℃の保温が推奨されています。
  2. 湿度 約45%の保湿が推奨されています。
  3. 転卵 1日4回、卵を90度回す転卵作業が推奨されています。
注意:以上の例はニワトリの場合で鳥によって条件が異なってきます。
孵卵する前に孵化させようとしている鳥の条件をベルバード孵卵の基礎知識昭和フランキふ化に関するQ&Aなどでお調べください。
また、孵卵器は機械なので初期不良はおこりえます。電源を入れてすぐに卵を入れるのではなく、しっかりと動作確認をしてから卵を入れることをおすすめします。

孵化に必要な条件を自動制御してくれるのが孵卵器ですが、すべての機種で3つの条件を自動制御してくれるわけではありません。
まず、すべての機種で温度制御はしてくれます。
次に湿度ですが、これは機種によっては自動制御ではなく水を入れておき自然な蒸発によって湿度を上げるタイプがあります。孵化に必要な湿度はある程度幅があっても大丈夫なので、水を入れておくだけで意外と湿度は保てたりします。
最後に転卵ですが、これは機種によって特性があります。転卵方式、転卵間隔、それと孵化に転卵が必要なのですが孵化する3日前ぐらい(孵化末期)になると今度は逆に転卵をしない方がよいとされており、この孵化末期に自動で自動転卵を停止してくれるモードがあるなど転卵に関しては各機種違いがあります。 また、自動転卵がない孵卵器も販売されていますが、そういった機種は孵卵器というよりどちらかというとハッチャーや恒温槽という部類で転卵が必要ない孵化末期の卵を温めることに使われることが多いです。
リトルママ小型デジタル自動孵卵器

リトルママ 小型デジタル自動孵卵器

使い方が分かりやすく、特定の孵したい卵があるというわけではなく、孵してみたいなと思っている方にはコレ!
  • 価格:17,280円(税込)
  • サイズ:260x200x110 mm
  • 重量:700g
  • 孵卵可能な卵の数:3個(ニワトリ)
  • 自動湿度制御なし
  • 孵卵日数の表記あり
  • 孵化末期の自動転卵停止機能あり
小型の孵卵器というのは需要がないと思われていたのか国内で見ることは無かったのですが、10年ほど前から販売されているのがこのリトルママです。 画像ではニワトリの卵が3個入っていますが、同梱のプレートを使うとウズラの卵を7個入れることができます。 今では小型の孵卵器=リトルママと認知度はかなり高く、レンタルや中古品を見つけることもできます。 操作は簡単で孵したい鳥のアイコンに合わせてあとは孵卵を開始するだけです。 ただ、どの鳥でも温度は37.5℃設定で孵卵日数だけ選んだ鳥に合った日数になります。※温度設定は後から変更できます。 湿度に関しては水を入れる部分に少量の水を入れて自然蒸発により湿度を保つタイプです。 かなり簡単に孵化できますが、温風の循環の設計がうまくいってないのか3個置かれている卵の箇所で温度に差があることがあります。 Youtubeなどネットで孵化報告が一番多い機種でもありますが、希少・高価な卵を孵化しようとする場合はあまりおすすめできません。 
 

これ以降に紹介する機種は本格的に繁殖をしているブリーダーにも使われることが多い機種です。

ミニアドバンスII

ミニアドバンスII

イギリス製の実績がある孵卵器
  • 価格:24,840円(税込)
  • サイズ:245x245x165 mm
  • 重量:1.07kg
  • 孵卵可能な卵の数:7個(ニワトリ)
  • 自動湿度制御なし
  • 孵卵日数の表記あり
  • 孵化末期の自動転卵停止機能あり
ミニアドバンスはブリンシーというイギリスの会社の孵卵器でかなり昔から販売されていましたが2017年ごろから後継機のIIが販売されました。 作りはドーム状で上側にファンが付いているので、孵卵器内の温度を拡散できどの場所でも均一な保温がされる設計になっています。 ただ、孵化が終わり再度孵卵をする場合に再設定が必要なことに加え、日本語の説明書は付いていますがメニューが英語のため操作がやや分かりにくいこともあるかもしれません。 この機種は温度と転卵は自動でしますが、湿度調整は脇にある水入れから水を入れて保湿するタイプです。湿度管理もできるミニアドバンスEXIIもあります。
Rcomプロ10小型自動孵卵器

Rcomプロ10 小型自動孵卵器

オールマイティな機種
  • 価格:25,920円(税込)
  • サイズ:259x236x172 mm
  • 孵卵可能な卵の数:10個(ニワトリ)
  • 自動湿度制御なし
  • 孵卵日数の表記あり
  • 孵化末期の自動転卵停止機能あり
Rcomプロ10は2016年ごろに出た機種ということもあってか色々な孵卵器のいいとこ取りのような作りになってます。 ミニアドバンスのようなドーム型ですがメーカーはリトルママの会社です。 リトルママにあった孵卵器内の温度に差は上からのファンによる拡散のためか差が出ないようになっています。 ミニアドバンスより卵を3個多く入れられたり、操作が分かりやすかったりと後発機種ならではの工夫がみられます。 また、液晶画面の下にくぼみがありますが、そのくぼみに卵を置きスイッチを押すと孵卵器に内蔵されたLEDが光り検卵できるようになります。 この機種は温度と転卵は自動でしますが、湿度調整は脇にある水入れから水を入れて保湿するタイプです。湿度管理もできるRcomプロPlus10もあります。
キングスロ20全自動孵卵器

キングスロ20

温度・湿度・転卵が自動ながらもシンプルでアナログな孵卵器
  • 価格:36,720円(税込)
  • サイズ:370x231x209 mm
  • 重量:1.9kg
  • 孵卵可能な卵の数:24個(ニワトリ)
  • 自動湿度制御あり
  • 孵卵日数の表記なし
  • 孵化末期の自動転卵停止機能なし
キングスロ20はとにかくシンプルです。 シンプルではありますが、他の機種と違い組み立てをする部分がありますが、さほど難しいことではないと思います。 電源を入れるとすぐにヒーターと湿度機能が作動し始め孵卵開始となります。 転卵はおにぎり型の装置の上に孵卵器をのせると左右にすごーいゆっくりゆりかごのように揺れることで転卵がされます。孵卵日数のカウント機能や自動転卵停止機能はないので孵卵日数をしっかりと管理して孵化末期に転卵装置から孵卵器を外す必要があります。 湿度管理は孵卵器内の湿度が低くなると外部のモーターから孵卵器内に自動で水が送り込まれる仕組みです。 孵化後にもう一度ふらんする場合などの再設定の必要がなく扱いやすい機種ではありますが、形状がドームではなく横長なので両端部分にやや温度差があるかなと思えますが、孵化率からすると許容範囲だと思います。
 
イギリスで孵卵器の製造を40年以上しているブリンシー社によると最近、電源関連に問題がある孵卵器が増えているとのことです。 孵卵器はヒーターを使い卵を温めるので、電源関連に問題があると場合によっては機器が溶けたり火花がでる恐れがあります。日本でもAmazonから安い孵卵器が購入できますが、国内事業者が販売している場合は電気用品安全法(PSE)が適用されるので安全性はありますが、海外から直接発送またはAmazonが発送を代行している場合は電気用品安全法(PSE)の適用外とされるのかPSEが付いていない商品があります。こういった商品は安全性は確保されていません。ただし、これは機器の安全性の話しなので機器の性能、孵化率が必ずしも疑わしいということではありませんが、孵卵器の購入を考えている方はこういったことがあることを踏まえてください。 英文のみになりますが、詳細はブリンシー社のページをご覧ください。
https://brinsea.co.uk/latest/thinking-buying-cheap-imported-incubator/